最低賃金2026年度改定、飲食店はいつから何を見直す?発効日の確認とシフト・価格・求人の点検ポイント

2026年度(令和8年度)の地域別最低賃金が、10月から順に新しい額へ切り替わります。厚生労働省の全国一覧によると、全国加重平均は1,177円。改定前の1,121円から56円の引上げです。

注意したいのは、切り替わる日が都道府県ごとに違うことです。10月1日に発効したのは15都道府県で、残りの32府県は10月2日以降、12月にかけて順に発効します。「うちはまだ先」と思っていても、準備に使える時間は思ったより短いかもしれません。

この記事では、飲食店が発効日までに確認しておきたいことを、金額の確認 → 時給以外の人の確認 → シフト → メニュー価格 → 求人票の順に整理します。

この記事の前提

  • 金額・発効日:厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」に掲載された令和8年度の額
  • 最終確認日:2026年10月1日

matokaは飲食店の集客を支援する会社で、労務の専門家ではありません。個別の賃金の判断は、都道府県労働局・労働基準監督署、または社会保険労務士にご確認ください。

まず自店の都道府県の金額と発効日を確認する

地域別最低賃金は、お店(事業場)がある都道府県の額が適用されます。厚生労働省は、パート・アルバイトなど雇用形態や呼び方にかかわらず、都道府県内の事業場で働くすべての労働者に適用されると説明しています。

複数の都道府県に店舗がある場合は、店舗ごとに金額も発効日も違う点に注意してください。

令和8年度の金額と発効日(全47都道府県)

厚生労働省の全国一覧(PDF・Excel)に掲載された額を、1件ずつ確認して転記しています。

都道府県 改定後の額 発効日
北海道 1,131円 10月1日
青森 1,090円 10月29日
岩手 1,090円 12月1日
宮城 1,098円 10月1日
秋田 1,090円 10月14日
山形 1,092円 10月30日
福島 1,094円 10月16日
茨城 1,136円 10月18日
栃木 1,125円 10月1日
群馬 1,120円 10月3日
埼玉 1,196円 10月1日
千葉 1,195円 10月1日
東京 1,280円 10月1日
神奈川 1,279円 10月1日
新潟 1,108円 10月1日
富山 1,119円 10月1日
石川 1,113円 10月3日
福井 1,112円 10月4日
山梨 1,113円 11月1日
長野 1,117円 10月2日
岐阜 1,121円 10月1日
静岡 1,154円 10月15日
愛知 1,195円 10月1日
三重 1,143円 10月1日
滋賀 1,136円 10月3日
京都 1,180円 11月16日
大阪 1,231円 10月1日
兵庫 1,172円 10月1日
奈良 1,107円 10月4日
和歌山 1,101円 10月3日
鳥取 1,090円 10月3日
島根 1,092円 10月10日
岡山 1,104円 10月2日
広島 1,141円 10月11日
山口 1,101円 10月8日
徳島 1,103円 11月1日
香川 1,092円 10月1日
愛媛 1,093円 11月1日
高知 1,086円 10月29日
福岡 1,114円 10月4日
佐賀 1,095円 11月15日
長崎 1,087円 11月2日
熊本 1,092円 12月1日
大分 1,096円 11月1日
宮崎 1,085円 10月24日
鹿児島 1,090円 10月25日
沖縄 1,086円 12月2日
全国加重平均 1,177円 -

出典:厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金全国一覧」(2026年10月1日確認)。発効日はすべて2026年(令和8年)。給与計算に使う前に、必ず厚生労働省または都道府県労働局の最新の掲載をご確認ください。

発効日で見ると、10月1日が15都道府県、10月2日〜30日が22県、11月が7府県、12月が3県(岩手・熊本・沖縄)です。11月・12月発効の地域は、年末の繁忙期の直前に切り替わることになります。

時給の人だけ見ていませんか——月給・日給は時間に換算する

最低賃金は時間額で決まっていますが、月給や日給で働く人にも適用されます。厚生労働省は、確認の方法を次のように示しています。

  • 時間給:時間給 ≧ 最低賃金額(時間額)
  • 日給:日給 ÷ 1日の所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)
  • 月給:月給 ÷ 1か月平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)

月給の場合、厚生労働省の計算例では月給を12倍し、年間の所定労働時間(年間の所定労働日数 × 1日の所定労働時間)で割って時間額を出しています。

計算してみると

計算の仕組みを見るための例です。年間の所定労働日数が250日、1日8時間の社員で、最低賃金の対象になる月給(基本給と職務手当など)が20万円だとします。

20万円 × 12か月 ÷(250日 × 8時間)= 1,200円

この場合、最低賃金が1,200円を超える地域では下回る計算になります。上の表では、東京・神奈川・大阪がこれにあたります。

「社員は月給だから関係ない」とは限りません。特に、店長・料理長など所定労働時間が長い社員は、同じ月給でも時間に直すと低くなります。社員の分も一度は計算しておきましょう。

時間給・日給・月給それぞれの最低賃金との比べ方と、月給20万円を時間額1,200円に換算する計算例の図解

深夜・手当・試用期間で間違えやすいところ

最低賃金と比べる賃金には、入れてよいものと入れてはいけないものがあります。厚生労働省は、次の賃金を最低賃金の対象から除くとしています。

  • 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
  • 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
  • 所定労働時間を超える労働への賃金(時間外割増賃金など)
  • 所定労働日以外の労働への賃金(休日割増賃金など)
  • 午後10時から午前5時までの労働への賃金のうち、通常の労働時間の賃金を超える部分(深夜割増賃金など)
  • 精皆勤手当、通勤手当、家族手当

飲食店で気をつけたいのは、次の3つです。

深夜の割増分は足せない

深夜営業のお店では、夜の時給を高く設定していることがあります。ただ、深夜割増の部分は最低賃金の比較から除かれます。割増を除いた元の時給が、新しい額を下回っていないかを確認してください。

皆勤手当・交通費で上回っているように見えていないか

精皆勤手当・通勤手当・家族手当も除外の対象です。「手当を足せば最低賃金を超える」という考え方は通用しません。給与明細の項目ごとに見直すと確実です。

研修中・試用期間の時給

最低賃金は、雇用形態や呼び方にかかわらず適用されます。「研修中は時給を下げる」運用をしている場合も、下げた額が新しい最低賃金を下回っていないかを確認してください。

厚生労働省は、試の使用期間中の人などについて最低賃金の減額の特例を設けていますが、これは使用者が都道府県労働局長の許可を受けることが条件です。許可なく下回る時給を設定してよいという制度ではありません。

なお、最低賃金に満たない賃金しか払っていなかった場合は差額を支払う必要があり、地域別最低賃金については最低賃金法に罰則(50万円以下の罰金)が定められています。判断に迷う項目は、都道府県労働局か労働基準監督署に確認しましょう。

シフトと人件費を見直す

金額の確認が済んだら、店の運営に落とし込みます。

新しい額を下回るスタッフを一覧にする

  • スタッフごとに、現在の時給(月給・日給は時間換算後)を並べる
  • 新しい額を下回る人と、その差額を書き出す
  • 差額 × 1か月の予定労働時間で、増える人件費のおおよそをつかむ

下回る人だけを引き上げると、もともと少し高い時給だった人との差が縮まります。経験の長いスタッフの時給をどうするかも、この段階で決めておくと説明しやすくなります。

シフトの組み方を見直す

  • 時間帯別の客数と人数を見比べ、人が余っている時間がないか確認する
  • 時給が上がると、収入の上限を決めて働いているスタッフから勤務時間を減らす希望が出ることがある。年末の繁忙期の前に、本人の希望を聞いておく
  • 給与の締め日と発効日がずれる月は、どの勤務から新しい額で計算するかを給与ソフトや担当者と確認する

国の支援策も確認する

厚生労働省の「業務改善助成金」は、生産性向上に役立つ設備投資などを行い、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合に、設備投資などの費用の一部を助成する制度です。

令和8年度の申請期間は、公式ページで「令和8年9月1日~申請事業場の都道府県において適用される地域別最低賃金の発効日の前日又は同年11月30日のいずれか早い日」と案内されており、「都道府県によっては9月末が申請期限になります」とも書かれています。発効日が遅い地域ほど申請できる期間が残っていることになります。要件や助成額は、必ず公式ページで確認してください。

また同じページで、厚生労働省から委託を受けたと装って助成金の活用を勧誘する事業者への注意も呼びかけられています。

メニュー価格と求人票を更新する

メニュー価格は「いつ・まとめて」考える

人件費が上がる分を価格にどう反映するかは、お店ごとの判断です。ただ、メニュー表を短い間に何度も刷り直すのは手間も費用もかかります。食料品の消費税率の引下げで、店内飲食とテイクアウトの価格表示を見直す時期も控えています。価格の見直しはまとめて考えるのがおすすめです。

求人票の時給表記を発効日までに直す

見落としやすいのが、求人票に書いた時給です。発効日を過ぎても古い時給のまま掲載していると、新しい最低賃金を下回る条件を出していることになります。

  • 求人サイト・Googleの求人検索・自社ホームページの採用ページ
  • 店頭の貼り紙、SNSの求人投稿(固定している過去の投稿も)
  • 「研修中の時給」「深夜の時給」など、本給以外の書き方

時給を上げるなら、求人票で伝わるように書くことも大切です。求職者がどんな言葉で探すかは飲食店の求人票、どんなキーワードで書けば見つけてもらえる?、掲載しているのに応募が来ない場合は求人票の見直しポイントを参考にしてください。

まとめ——発効日までのチェックリスト

  • 自店の都道府県の金額と発効日を、厚生労働省の全国一覧で確認した(店舗ごとに)
  • 時給のスタッフだけでなく、月給・日給の社員も時間に換算して確認した
  • 比較から深夜割増・皆勤手当・通勤手当などを除いて計算した
  • 研修中・試用期間の時給が新しい額を下回っていない
  • 下回るスタッフの一覧と、増える人件費のおおよそを出した
  • 繁忙期のシフトについて、スタッフの希望を聞いた
  • 業務改善助成金の申請期間を公式ページで確認した
  • メニュー価格の見直しを、消費税の切り替えと合わせて考えた
  • 求人票・貼り紙・SNSの時給表記を発効日までに更新した

最低賃金の改定は毎年あります。今年作ったスタッフの一覧と、求人票を出している場所の一覧は、来年もそのまま使えるので残しておきましょう。

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出典

本記事は2026年10月1日時点で厚生労働省が公表している情報にもとづいています。個別の賃金の判断は、都道府県労働局・労働基準監督署、または社会保険労務士にご確認ください。

投稿者プロフィール

matokaスタッフ
matokaスタッフ
飲食店専門のWEB集客支援を行う、matoka株式会社(東京都品川区西五反田)の編集チームです。

普段の仕事は、Googleビジネスプロフィールの運用と口コミ対応(MEO対策)、食べログ・ホットペッパーグルメなどグルメサイトの運用代行、SNS運用とホームページ制作、訪日外国人向けの多言語対応、AIを使ったMEO支援(droptip)、そして成果報酬型のインフルエンサーPR「clues restaurant」の運営です。

このブログには、その現場で実際に手を動かして分かったことを書いています。AI検索(ChatGPTなど)に自分の店がどう出るかの確かめ方、口コミ返信やGoogleマップ投稿の時短、グルメサイトとMEOの使い分け、多言語メニュー、求人票、決済まわりのリスクまで、テーマはすべて店舗からの相談が出発点です。

編集方針は2つあります。営業の合間にスマホで読んでも、その日のうちに1つ試せる形で書くこと。そして成果を保証せず、うまくいかない条件や向かない店舗も併せて書くことです。

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